Small Notes of Togo (旧PDP at Musashi)

武蔵大学の教員のノートです。パラレル・ディグリー・プログラム(PDP)に関する情報提供や質問への回答も行いますが、他の事柄についてもコメントします。なお、このブログは武蔵大学の公式なものではなく、個人的なブログです。ご質問などはtogoアットマークcc.musashi.ac.jpまでお寄せください。

ロンドン大学とLSE

今回はロンドン大学LSEの関係について紹介させていただきたいと思います。ロンドン大学LSE、それぞれについてご存知な方はいらっしゃっても、ロンドン大学のプログラムにおける両者の役割についてはご存じない方が殆どではないかと思います。

まず、ロンドン大学は1836年に設立された歴史の古い大学です。それまではオックスフォード大学とケンブリッジ大学しかなく、両者とも英国国教会の信徒のみに入学が許可されていましたが、ロンドン大学は人種、宗教、政治的信条に関わらず広く門戸を開いた大学として設立されたため、「人々のための大学(The People's University)」として有名です。

ロンドン大学はカレッジや研究所など17の機関から構成されています。カレッジの中にはユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(University College London、UCL)、キングス・カレッジ・ロンドン(King’s College London, KCL)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(the London School of Economics and Political Science, LSE)など世界でもトップ・ランクに位置しているものがあります。

ロンドン大学は1858年に、世界中に高等教育を広めるため、ロンドン在住以外の学生にも学位を取得する機会を提供する通信教育課程(Long distance learning)を始めます。この通信教育課程が形を変え、現在、インターネットなどを活用しながら世界中の学生に高等教育(大学、大学院課程)を提供しています。ロンドン在住以外の学生は一人で勉強する(independent study)ことも可能ですし、現地の教育機関(Teaching Institution)に所属してロンドンのプログラムを勉強することも可能です。PDPは後者のスタイルになります。

前者の例で有名なのは、南アフリカ共和国の元大統領ネルソン・マンデラです。彼は反アパルトヘイト活動による国家反逆罪で獄中にいた27年の間に、ロンドン大学の通信教育課程で法学を学んでいました。

現在、ロンドン大学の学生はロンドンに12万人以上、ロンドン以外では180か国で5万人以上が学んでいます。学生はロンドン大学の学籍番号を取得すれば、ロンドン以外の場所で勉強していてもロンドンの学生と同等のサービスが受けられます。例えば、図書館の利用や就職などの情報提供も受けることができます。

ロンドン以外での学生でもAccounting and Finance、Computing and Information Science, Law, Veterinary Science and Veterinary Nursingなど様々な学位を取得可能なプログラムが提供されています。各プログラムはロンドン大学を構成する様々なカレッジがリード・カレッジとして教育内容のデザイン、試験作成と採点を担当しています。

PDPで現在、提供しているプログラムはInternational Foundation Programme (IFP)とEconomics and ManagementのBachelor of Science (BSc)プログラムですが、IFPの方はロンドン大学自身がプログラムを担当し、BScについてはこの分野で世界トップ・ランクのLSEがリード・カレッジを務めています。

このような伝統ある仕組みを通じて、質の高い教育をPDPでは提供しています。

(参考資料)https://london.ac.uk/